自分はオランダでは、「フリーランス」の音楽家という立場で、’ワンマンビジネス’(従業員がいない仕事)という登録になっている。日本では「自由業」にあたる。
アートに関する仕事の人ばかりでなく、オランダでこの肩書きの人に時々出会う。特に昨年お世話になったのは、大工さん。そして今回、助産師さんにお世話になった。
大工さんについてはまたいつかの機会に書くことにして、今回の出産でお世話になったのはフリーランスの助産師さんだった。
私が通っていた助産院には4人の助産師さんがおり、出産の際にはそのうちの一人が担当してくれることになっていた。
だが。。。。実際に「その時」が来たとき、助産院の緊急用の携帯電話にお返事をしてくれたのは、その日たまたま入っていたフリーランサーのピンチヒッター。
こういうことも、あり得ます、とは聞いていた。
だから初めて会う方が、緊急の破水に来た。誰が来ようと、助けてもらえるなら、、、という気分だったのでかまわなかった。
ただ、覚えているのは、一応土足禁止にしている家に、ずんずんとブーツで入って来て、ロングヘアーが動くたびにをぱさっと翻り、香水が漂っていたこと。
「ごめんね、香水あなたにはきついかもしれないけれど」とも。
てきぱきと仕事をして、風のように去っていった。病院に行くことになったとき、私達はタクシーで、彼女は自分の車で病院まで来てくれて、引き継ぎをして、また去っていった。
出産後一週間の間に、助産院から3回の往診があるのだが、偶然にも彼女が一度来てくれたので、お礼の挨拶ができた。
「昨晩も出産に立ち会っていてね。今朝もほとんど寝ていないの。」ととっても忙しそう。
ジーンズにブーツ、ロングヘアー。道ばたで出会ったら、普通のきれいなお姉さんで、彼女が今出産に立ち会っていてね、、、なんて誰もわからないだろうと思う。
フリーランサーは「ワンマンビジネス」の自分の会社だから、仕事着も、もちろん自由。でもこの仕事で香水って。。。妊婦は匂いに敏感なのである。
実際仕事をしている姿はかっこよく、楽しそうだった。
「自分のスタイル」的な働き方は、とてもオランダらしい。
記憶が鮮明な一日の中でも、とくに印象深い存在だった。