SOUNDS

フォルテピアノの五重奏団。

思えば結成は2013年。

半年のブランクのあと、この5月15日にはなんと一日で二つのコンサート。

一日2回のシューベルト「ます」はかなりヘビーだった。。。

ひとつめは、ドイツ国境近くのある街のシアターで、ライトアップもかっこよくこんな感じ。

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そう知名度があるとも思えない私たちのアンサンブルのチケットを買ってくれる方はいるのだろうか、、、と心配しながらホールのマネージャーに「チケット予約ありましたか?」と尋ねると「いい質問だ、ちょっと聞いてくるよ」とどこかへ。そしてピースサインをして戻ってくるので、2枚ってことかな、、、と思うと200人!

宣伝の効果か、ありがたいことにたくさんのお客様に私たちのオリジナル楽器での「ます」を聞いていただくことができた。

5人の女性グループとして自分たちの音楽を探しながら、いつくかのコンサートを共にしてきた。

弦の4人は古楽オケなどで世界をかけまわって活躍している、経験豊富なメンバーだが、でも五重奏のコンサートはそうそうあるわけでもなく、残念ながらマネージャーもなし。

やっとラッキーなことに入って来たこの2回公演は、大成功で5人の結束もびゅーんと強くなったような一日だった。

前半のプログラムは他に、Albrechtsberger の弦楽四重奏。「ます」編成の4人の弦楽奏者でできる作品。アルブレヒツベルガーはベートーヴェンの作曲の先生として知られている。バロックから古典にかかる時代を象徴するような要素たっぷりの、4楽章の美しい曲で、最初の緩徐楽章のあと、2楽章目はフーガ、3楽章はメヌエット、最後は軽快なスケルツァンド。

そしてモーツァルトのトルコ行進曲。今回ははじめて、テーマが戻るところに装飾や、デコレーション(ロバート・レヴィン氏の言葉)実験的にたくさんいれてみる。

モーツァルト的スタイルの中でする装飾のこと、もっと研究を重ねてみたい。

前半の最後は2014年にSOUNDS のために、オランダの若手作曲家、Hugo Bouma氏が作曲してくれた ‘andere vissen’(他の魚達)。この曲は「ます」とコンビで演奏会に取り上げられることを想定して作られており、8つの魚に関連した内容からなる。さらに、5つのペダルを持つウィーン式ピアノのために作曲されているので、ファゴット、打楽器、モデラート、ウナ・コルダ、ダンパーとすべてのペダルが効果的に大活躍する、とても面白い作品。

今回の「ます」のためにフォルテピアノを提供してくれたのは、Theo Kobald氏。

非常に細かいところまで完璧に作られていると感じるような、美しい楽器である。(2014年作、ウィーンのFritz 1813 のレプリカ)

 

Kobald 1813 whole

オリジナルではいろいろ不備があっても、そのオリジナルの特性でカバーでき、人々に感嘆される。レプリカの良さは、製作者とコミュニケーションできること。そしてレギュレーションの完璧さ、瑞々しい音色、こちらの感じることや要求にすぐに対応してくれようとする、テオさんの完璧主義(!?)な姿勢と準備には頭が下がる。やはり生きている同世代の製作者と共に仕事をすることには、大きな意味があると感じる。

休憩中には興味を持ったお客様が数十人集まり、製作者テオさんからお話を聞いていた。

休憩中にも丁寧に調律をしてくれたにも関わらず、このかっこいい照明は相当温度が高く、休憩後に行くと、鍵盤もいすもあったまっている程。(笑)調律を保つのが難しい会場ではあった。

 

さて、二つ目の会場は Kasteel Heeswijk

ここでは、ブロードウッドの1840年製の楽器で、5つペダル用のBouma氏の作品が演奏できなかったので、シューベルトのヴァイオリンとのソナチネ1番のデュオと、メンデルスゾーンの無言歌より、ソロを代替にいれる。

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2回目の「ます」はずいぶん弾きこなれてきたところもでてきて、疲れを忘れての熱演であった。

今回はコンバスもチェロも、そして5人が一緒に乗れるワゴン車をレンタルして移動。

 

五重奏のリハーサル、コンサートを通して思ったことは、人数が多くなることによって、「透明感」を保つことの難しさ。5人の中で思いっきりバックグラウンドにまわったり、一転してコンチェルトのようにソリストになるべき役割になったりの差が大きい。弱音もあまり弱くては聞こえなくなってしまうので、全体にスケールの大きさが必要なのかもしれない。5人それぞれがソロとしての自覚を持つこと。そう、もっと大きな音楽をしたい、という刺激になった!

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次のSOUNDSのコンサートは7月10日、アムステルダム。

シューベルト「ます」& ボウマ「他の魚達」など。

 

 

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モーツァルトプログラム

自分にしては実はオールモーツァルト、というプログラムを演奏したソロリサイタルは初めてであった。
今年の1月に2カ所でこのプログラムを演奏した。

モーツァルトの幼少時代から晩年の作品までのなかからいくつかを選んで、「モーツァルトー人生の旅路」と題して彼の音楽とその頃の出来事をお話したりしながらすすめた。

2014年に自筆の断片が発見された、有名なイ長調のソナタK.331(トルコ行進曲つき」)もプログラムに。

自分が子どもの頃から親しんでいる作品で、それもモーツァルトは死後200年以上経っているものがなぜ今更、音が違うことがあるのだろうか?
こんなセンセーショナルな出来事はそうそうない。

ブダペストの国立図書館で、無記名の自筆譜の山を丁寧に調べていたある音楽学者が、そのうちのひとつがモーツァルトのよく知られた音楽であることに気づく。

ソナタの中の一部の発見であったので、トルコ行進曲の楽章には音の変更はなかったが、1、2楽章においては数カ所、その新しい版に従った。

ヘンレー モーツァルトK331

モーツァルトのK.331 メヌエット楽章 最新のヘンレー版より

 

こちらから自筆譜をダウンロードできる。(なんという時代!)この貴重な版をすぐにシェアできるようにしてくれて感謝。

http://mozart.oszk.hu/index_en.html

 

今回のプログラムは

Kv.397, 540, 355, 310, 25, 331

メッペル市の会場はアムステルダム周辺の自分のお客様が来てくれるにはちょっと遠いので集客を心配していたが、モーツァルトのお陰か、このソナタの話題のお陰か、なんと満席に。そして思いがけず嬉しい新聞批評(4つ☆)をいただいた。(訳さなきゃ!!!)

Recensie Kaoru MC 25 jan 2016

 

さらに、オーガナイザーのサポートのお陰でこんな映像を作成してくださった。話べたで使えるところが少なくて。。。さらに英語もひどくて、演奏会前で余裕もなくて、と言い訳ばかりだけれどでも綺麗に撮影してくださった、Salomon Meij 氏、 企画してくださったAdriaan Meij氏にはとても感謝している。

 

 

久しぶりに自分のシュタインのピアノを登場させることができた。

その前のお手入れが大変だったが、長い目でみて何度もレギュレーションしたり、新たなプロブレムや自分の楽器のことを詳しく知ることができるのはとても大事な機会。

折れた。。

と、一週間前にやぼなミスでこんなこともあったが。。。

ご近所のGijs Wilderom氏はじめ、何かあったら駆けつけられるフォルテピアノ技術者が多々いる贅沢なオランダ環境。

以前、自分で専用ののりをつけて、糸で巻いて治すやり方を習ったので過去に2、3度やったが、今回はGijs氏のアドバイスで糸はなしでもしっかり固まる方法を教えてもらった。

練習時間か、楽器の手入れかどっちに時間を使うか。。。練習時間がとても限られているのでほぼ、半々くらいな気もした。。

全ての音の弦への「接近」具合をチェックするだけで、2、3時間かかる。(FFからf3)

それも一度で終わらない。様々な要素がかみ合っているので、チェックポイントがたくさんある。

キーが動き始めるまでの「あそび」の部分の深さや、ハンマーがきちんとまっすぐ弦を打っているかどうか、鍵盤の高さは全てまっすぐに並んでいるかどうか、、、

それからこの部分

グラフィーと

 

エスケープメントがスムーズに動くように、黒鉛がつけてあって、でも塗らなくてもいい、という意見もあるのだ。サンドペーパー派、木片で木部分をこする、などなど、自分でもいろいろ試してみる。

そして、調律もコンサート前には回数を増やす。

でもこうして楽器に手をかけると、相棒への愛着感も増す。

さらに舞台の上では音楽に集中したいから、出来る限り問題を少なくしておきたい。

そうして、一緒に共にした時間があって、一緒に会場に到着して、共に演奏会に出演するときの感慨は大きい。自分が所有できる、最初で最後の5オクターブのピアノだと思うから、いつまでも元気でいてほしい。

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「ワーテルローの戦い」プログラム

2015年は、ナポレオンがワーテルローの戦いで負けてから200年の年であった。その戦いにちなんだ音楽を探してみると、思いの外たくさんあり、当時の聴衆が娯楽として音楽を楽しんだ様子が思い浮かぶ。

オランダの作曲家ウィルムス(Johann Wilhelm Wilms) は『ワーテルローの戦いーピアノのためのある歴史の音楽的絵画』という作品はまさにタイトルそのまま、戦争開始の様子から戦い、その後のお祭りの音楽までが、ナレーションの言葉が添えられて描かれている。

7月には日本でも池袋の明日館にて 「東日本大震災復興支援コンサート 」として 梅岡楽器さんとのコラボレーションによって、このプログラムのソロ版を演奏させてもらうことができた。

オランダでは、俳優で歌手であるGuy Sonnen氏とのデュオ版や、ピアノトリオ ベルフォンティスとGuyさんとの4人でのバージョンなど、数回公演した。

各地で大好評をいただき、たくさんのお客様に楽しんでもらうことができた。エンターテイメント的要素の強いプログラムだった。日本でのソロ版はGuyさんのナポレオン姿をご披露できなくて残念だったが、あるお城でのコンサートの写真はこちら。(ピアノはブロードウッド1840年製)

27-09-2015 Belfontis Trio heeswijk

 

guy&kaoru in jagthuis 2015

こちらはHet Jagthuisというアムステルダムより郊外にある街の昔農家で,牛舎小屋を改造して作った演奏会場、の楽屋にて。

Guyさんはかつて、日本の「オランダ村」で今も(?)上映されるための映画「将軍からの贈り物」に主演するため来日したことがあり、日本大好きな俳優さん。

 

kasteel heeswijkKasteel Heeswijk