エラールのピアノが来た

また巡り合わせというのか、素晴らしいエラールのグランドピアノ(1915年製)が私のスタジオに1年間来ることになった。

なんと美しい木目、タッチもなんとも言えないヒストリカルなピアノの感覚。

もっとモダンピアノの音色を想像していたが、低音もアーティキュレーションが聞きやすい、ピュアな音色。弦もハンマーヘッドもオリジナル。

チェンバロ製作家として知られる、ヨープ・クリンクハマー氏がここ数年フォルテピアノ、特にエラールにはまり、何台か修復の監督を手がけた。

コンサートも企画されたが、結局今は場所もとるので、売りに出すことも考えていたようだ。

売れるまで、とりあえずどこかに置かせてもらいたいということだったので、お話してみたら、トントン拍子で話がすすみ、

スペースのある私のスタジオに。

そのお話を聞いたのも、ひょんなことからで、そのご縁をもたらしてくれた方にも感謝。

 

私にとって、オランダで身近に置けるはじめてのグランドピアノ。

(シュタインモデルの18世紀レプリカの楽器をそう呼ぶ気がしないので)

ピアノの先生としても、普通の小さいピアノしかなかったので本当にありがたい。

私だけでなく、生徒さんにとっても恩恵が受けられ、子供達もグランドピアノの音色とその目前から香り立つ豊かな音色に、大きなインパクトを受けているように見える。

なんたって、グランドピアノ。

ヒストリカルな平行弦最後の時代のエラール。

たくさん練習したい!

 

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恒例のスクールクリスマス・ディナー

もうすぐ冬休み。

オランダではクリスマス前の週末から2週間がいつもの冬休みである。

そしてその週末に入る前の木曜日の夕方!

オランダ中(?)少なくともアムステルダム中の小・中学校では夕方5時頃に学校でクリスマス・ディナーがある。

うちの子供達の学校の場合は、昼12時頃にいつもより早く学校が終了し、一度家に戻り、小綺麗な格好に着替えて、夕方親が持ち寄りのパーティ料理やケーキを持って、再度学校に。

 

いつも木曜日はピアノのレッスンをしていたのだが、毎年この日はどの小学校の子もこの行事があり、レッスン時間帯に着替えたり、親も料理作ったりすることになり忙しいため、キャンセルが相次いだ。いっそのこと、今年からホリデー前の木曜日はレッスンをするのをやめることにした。

夏休み前の木曜日もそうしよう。。。何せ、もう誰もクリスマス支度とホリデーの浮かれ気分でピアノどころではない。さらに親もその日ばたばた。おかげさまで今年は気分もすっきり、前の週に木曜日の最後のレッスンを締めくくり、自分もはじめてゆっくりと子供のためにお寿司を作って持って行った。

もちろん仕事をしているお母さんもたくさんいて、働いている人にとっては、最後の忙しい週に12時に子供を迎えに来て、といわれることがなんとストレスになることだろう。

 

普段は木曜日に学童保育に申し込んでいるので、うちの子達の場合も12時から早めの学童保育へ。4時頃迎えに行って、着替えさせ、学校に連れていった。学童保育(BSO  Buiten schoolse opvang) は学校の予定にあわせて、臨機応変に夕方までは見てくれるのでありがたい。レッスンをキャンセルしてなかった時は、学童保育の先生に学校のディナーに連れていってもらったことも。それも可能。

 

そして私はぎりぎりセーフでジュースを持っていくだけとか、何も持って行かないことに、、、という余裕のない年ばかりであった。子供達の服装はまったくの普段着とか、、、朝からディナー用にびしっと決めることもできなくて、気がまわらなかった。

 

さて、このディナーは4歳児からある。4、5歳のクラスでは2、3人の親が食事のサーブのお手伝いに来るが、7歳以降ぐらいからは子供達と先生のみ。

8、9歳の息子のクラスになると、女のこはメークもしてきたり、まじでドレス、男の子もスーツにネクタイ、蝶ネクタイの子もいて、これがオランダの将来のマナーを教える機会なんだなあ、と思う。

家の子はネクタイなんかいやー、スーツなんかいやー、「普通」がいい、というので、私もまだ子供だし、学校だし、と適当に考えているので新しいブラウスに、初めてズボンのベルトを着けさせてみた。ベルトだって、初めてすると十分きちんとしてる!

 

この機会にクラスから先生への日頃の感謝をこめて、プレゼントを送ったり、クラスの中で何人か楽器を演奏したり、芸を披露する子もいる。

 

ボランティアの親が、クラスの飾り付けを午後中にしている。

テーブルクロス、綺麗な紙皿やコップ、薄暗いライトの中にキャンドルの燈。

もうオランダ人ママ、(だけでなく学校も?)にとっては、この演出とても大事!

日本でいうと、いかに上手にお寿司が作れるか、よりも、いかにかわいい、喜ばれるテーブルセッティングと雰囲気づくりができるか、のほうが食べ物の内容よりも大事。。。と思われる。

 

 

校長先生や先生だって、キラキラのパーティ衣装で現れる!

子供達はお腹いっぱい食べて、楽しくクラスの皆、先生とこのパーティを過ごし、お迎えの6時半頃から親達は外でグリューワインや持ち寄りのワインなどで、夜の野外パーティ。

その間学校の校庭で暗がりの中、嬉しそうに走り回る子供達。。。

親ものんびり、子供達もこの日ばかりは普段の学校ではない緩んだ日を楽しんで、皆ホリデー前を締めくくる。で、もちろんパパ達もたくさん参加している。子供の学校のためには喜んで、というパパの多いこと。クリスマス行事を、家族で祝う25日だけでなく、親も子も、学校の先生方も一緒に楽しみ、自分も仕事をしない木曜日にしたことを心から楽しんだ。。。

 

 

 

 

ポールマンで現代曲

今日は、Pohlman というイギリスの18世紀のスクエアピアノで、この10月にスクエアピアノのために作曲してくれたオランダ人、Bastiaan Egberts氏の曲を録音した。

 

結局は静けさが保てそう、と賭けたこの部屋で。まるで物置。。。

マイク2本で、作曲した方が自ら録音してくださり、そのうちYouTubeにアップする予定でございます。

調律もしたし、今年最後の神経を使うお仕事だったので、終わった後は、気晴らしに久しぶりに街へショッピングに出かける。

 

あさって木曜日は、オランダ中の小中学校でクリスマス・ディナーがある。

昼頃学校終了し、夕方またディナーに学校に出かける。

その時に子供のうちから、きちんと晴れ着で参加。

食事は親が持ち寄る。飾り付けも親。そのための子供の洋服を見に行った。

街はクリスマスのイルミネーションと、プレゼントを買う人々で賑わっている。

今年もいよいよ終わりに近づいている。

 

 

マスタークラス

先日はまたレッスンの機会をいただいた。

おなじみのザーンダイクのオランダ製スクエアピアノ。

1830年製で、タッチにはコツがいる楽器。

 

ここは有名な観光地のザーンセ・スハンスの対岸にあり、オランダの絵のような緑のかわいいお家がザーン川沿いに立ち並ぶ、まさにミニチュアオランダ村のセットにいるような景色。でも実物!今回は電車が止まっていたので、バスに40分揺られてザーンセ・スハンスまで行き、観光客のために作られた風車と、古い緑の木造住宅などを建てたテーマパークの中を子供達を連れて通りぬけ、対岸のホーニヒ・ブレート・ハウスへそこから徒歩10分。

 

ホーニヒ・ブレート・ハウス(Honig Breethuis) のあるLagedijk 通りで12月17日の週末に音楽のお祭りがあった。

通りのお家で、家に(グランド)ピアノがあったり、開放してコンサートに提供できるいくつもの家があり、そこで地元の音楽家がハウスコンサートをしている。オランダ名物の冬のお菓子などの出店も出て、雰囲気も素敵だった。

そこで、ホーニヒ・ブレート・ハウスにある楽器を、地元の若い才能のある音楽家に演奏させてみよう、というアイデアが出て、このフォルテピアノの持ち主が、やたらと古い楽器の取り扱いを知らないピアニストに弾かせたくない、と話が進まなかったそうだ。そこで「カオル、レッスンしてやってくれないか」という話に。私が判断してオーケーが出た人にだけ、弾かせる、という厚い信頼を受け、地元音楽教室に通う、優秀な10代の子達と大人のピアニストの3人の演奏を聞かせてもらいにいくことになる。2度のレッスンでフォルテピアノへの導入と、ちょっとしたコツをアドバイスしながら、少しでも慣れることができるように、弾くのを見守る感じ。

 

うーん、また楽しくて嬉しかった。

16歳の女の子はチェロを弾く妹さんとブラームスのチェロソナタ ホ短調の1楽章を。

16歳でこのブラームスを妹さんと弾いている、素敵な姉妹!最低音のホ音が足りなくて、まずあせる、、、よね。さらにロマンティックに大きく表現豊かに弾いている妹さんとのバランスを取るのが難しい、、、、よね。作品よりも30年も古いピアノなのだから。

もう一人は12歳の男の子。同じくらいの歳の女の子のバイオリニストとシューベルトのソナタの1番、ニ長調1楽章。これはピアノとレパートリーがばっちり合う。ペダルの使い方、モダンピアノと大きく違うなあ、と実感。

彼はモーツァルトのソナタも弾く。楽器に刺激されたらしく、ドビュッシーやリストやいろんな曲を試してみていた。若い世代の柔らかな感性、吸収力はすばらしくて、とても楽しかったようだ。

 

普段18人ぐらいの生徒さんを持っているが、初心者から18歳ぐらいまであとは大人が3人なのだが、選抜クラスにいるような10代の子供達にレッスンするというのは、とてもやりがいのある機会であった。素直に私のいうことに耳を傾けてくれるひた向きな目に、きゅんとしてしまう。。。

ご両親もまた熱心で、温かく見守る姿にこれまでのサポートがあってこそ、こんな若い音楽家が育つんだなあとなぜか親心にも共鳴してしまう。

このチャンスが本当によかった、と私も生徒さんも、ご両親も、博物館の方達も、そして楽器の持ち主も、みんな幸せな気分になったフェスティバルとなった。

フォルテピアノを通してのご縁、ありがとう。

 

「冬の旅」への旅

シューベルト歌曲集「冬の旅」。

11月19日のシューベルトの220年の命日に自分の「冬の旅」デビューを果たした。

「冬の旅」の旅の第一歩を踏み出すことができたのも、いろいろなご縁とお声をかけてくださった方のお陰である。共演のGuy さんより、以前この本をプレゼントにいただいた。

 

普段英語の本を読み切る能力は???なのに、がんばってこれは読もうと張り切った。言葉も調べて読んでいるつもりだが、やはり自然科学や歴史、絵画、様々な分野の教養、知識、専門用語が多く、そう簡単に進まない。内容の濃さと興味で、読みたい気持ちはあるのだが、英語力がついていかない。。(汗)

 

そしてこの8月に東京のヤマハで日本語訳を発見!

今年の2月に日本で初版が出たばかりで、1年半眺めた英語版に見切りをつけ、即購入!

 

そしてなんとかコンサートの前までに読み、今後も繰り返し目を通そうと思う本である。

リート伴奏で大事なのはやはり、ドイツ語の意味の把握、音楽と言葉の抑揚の一体感を感じることなので、本を読むことが目的ではないのだが、でもボストリッジの演奏家としての経験と観察力から書かれる冬の旅の分析は、とても興味深く、彼の教養の幅広さと鋭さ、繊細さにはもうほれっぱなし。彼の演奏も本当に心に浸みいる。エモーションがダイレクトに伝わってきて、長年愛聴していたフィシャー=ディースカウとはまた違う新鮮な良さがある。

オランダのスクエアピアノ、1830年頃の楽器で、親密さと「スピーク」できる感覚がたまらなく、お客様にもとても喜んでいただくことができた。

リート伴奏は楽しい!24曲の構成、フォルテピアノでの演奏、テンポ構成、伴奏法、詩の意味、様々な観点から興味の尽きない作品である。Guyさんとの共演も続けていきたいが、一生のうちには両手指くらいのたくさんの歌手の方と「冬の旅」を勉強して、様々な声域でも機会があったら演奏してみたいなあ、と密かな目標を持っている。