オランダでお節

2022年、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

寅年、気持ちを新たに、ブログにオランダ生活について、時々、お伝えしていこうと思います。

今年の冬は小中学校がちょうど、冬休みに入るという一週間前にロックダウンの発表があり、小学校は一週間予定よりも早く休みとなりました。

ロックダウンで家人が多いのに慣れてはきたものの、やはり子供が家にいたら、仕事しにくくなります。子供達を全く構わないわけには行かず、放っておいて何時間もテレビやゲームに夢中になられても困りますよね。

お友達と遊ぶ約束を入れたり、努力はしますがやはり家で過ごす時間が増え、子供も大人も運動不足が増すばかり。

オリーボレン

さて、オランダで過ごす大晦日は、恒例のオリーボレン(オリーボルの複数形。揚げたボール型ドーナツ)と発泡酒、おつまみでもあれば十分なので、準備は気楽です。さらに今年はご近所さんが招待してくださったので、うちはそれらを持参しました。

オランダはクリスマスを家族と過ごし、大晦日は友人や近所の人と過ごすことが多いようです。このパーティの多い時期も、大人3人まで(家族の子供は数えない)の訪問が許されていたので、集まるとしても少人数でした。

昨年からは恒例の花火も禁止となり、小さい花火しか買えなくなり、年明けの瞬間もずいぶん静かになりました。

うちは主人が4人兄弟なので、それぞれのパートナーや子供たち、義父母も集まると大家族です。ところが義父母はオミクロンも怖いし、集まるのはやめようということに。

もう2年以上、大家族では集まっていません。

やはり寂しいものですね。

さて、表題のおせちですが、大したことは書けないので、昆布巻きに初挑戦したお話を。

昆布は、何もおかずがない、と思っても乾燥昆布を戻してジャガイモ(オランダなので、これはよく家に常備)と和風に煮ただけでも美味しいので、日本に育っていない子供たちも、うちでは大好きになっています。

昆布巻きには、かんぴょうというものが普通は必要で、さらに中にはニシンとか鮭とか入れますよね。私の育った茨城の環境では、ニシンで、昆布を分厚く巻いたものでした。

お節のために日本食店まで行くのは、相当の労力(?)がいるので、スーパーで買える、サバの燻製を使いました。昆布を巻く、かんぴょうがないので、串刺し。笑

それでも、2、3に輪切りにしたら、立派な昆布巻きに見えましたよ!昆布が薄かったですが、サバの燻製も脂がのっていて、こってりと美味しくできました。もう一つの初挑戦は、黒豆作り。中華で買った唯一の黒いお豆なので、立派なものではないのですが、それらしい味になり、感動いたしました! 黒豆作りに三日もかかると思っていなかったので、お節を食べるのが1月2日に。

😅

それだけでは重箱がいっぱいにならず、厚焼き卵を焼いてみたり、ローストビーフにクリームチーズのようなものを挟んだオードブル、カニカマを詰めたりなどして隙間を減らし、、日本酒で乾杯すると、やはり日本人にとっては大切な節目だなあ、と心が満たされます。

煮物、酢の物のハスは、中華屋さんの冷凍ですが、これはとても重宝しています。

さつまいもに、甘みをつけて茶巾絞りも。あとはタラを焼いてみました。

前に結婚祝いにお友達に頂いた重箱、、、小さめですが立派な塗りの3段重ねを、初めて使用するという、、、(!)10年前に頂いて大切にしまっていました。とうとう日の目を見て、ありがたく使わせてもらいました。四角の箱に入れると、なぜか身が引き締まります。豪勢ではないですが、それらしくなりました。

お餅もなかったのですけれど、まさに、重箱の隅もつついてみて、いただきました。

‘ Thin Air’

このタイトルから皆さんは何を思い浮かべますか?『薄い空気』?これは、2020年にカリオペ• ツパキ Calliope Tsoupakiさんというギリシア出身の女性作曲家が作曲した作品の名前です。コロナ禍中に、‘Festivals for compassion’ ( 共感するフェスティバル)と題し、Wonderfeel festival ワンダーフィールフェスティバルというオランダの野外音楽祭が、世界にまたがるオンラインの音楽リレーを企画しました。

https://festivalsforcompassion.com/info/

もっと元をたどると、オランダ人芸術家、Rini Hurkmansさんの「共感の旗」という作品からインスピレーションを得て、音楽の形にしていったのが先のフェスティバルだそうです。

Flag of Compassison by Rini Hurkmans

この旗を掲げて航行する船があったり、飾っているギャラリーがあったりします。共感する、意思表示ですね。

このアイデアを聞いた時に、素晴らしい!と思い、オンラインで世界の様々な場所で、この ‘Thin Air’という同じ作品を 思いを寄せて演奏する姿を「共感するフェスティバル」のサイトで見た時、自分も是非参加したい!と思いました。

そして、11月に演奏させていただいたエラート・フェスティバルで希望を伝えたところ、録画が実現し、現在先のサイトのタイムラインに自分も参加させていただいています。

ユーチューブではこちら。

’Thin Air ‘ by Calliope Tsoupaki

‘ Thin Air’ = 薄い空気

とすると、なんだかコロナの病で呼吸困難になって、酸素が足りないことも関係あるのかな?!と思えたりもして。邦訳、これというのが思いつかないまま、英語にしています。

でもこの言葉を探すと、なんとシェークスピアの詩の一節にある言葉でもありました。この11月のフェスティバルのプログラムでは、ベートーヴェンの『テンペスト』も一緒に演奏したので、シェークスピアからインスピレーションを得たと言われているこの曲とつながりが!?!

偶然だと思うのですが、びっくりしました。

Prospero’s speech. (from ‘Tempest’(written 1610/1611) William Shakespeare )

           Our revels now are ended: These our actors—,
           As I foretold you—, were all spirits and
           Are melted into air, into thin air;
           And, like the baseless fabric of this vision,
           The cloud-capp’d towers, the gorgeous palaces,
           The solemn temples, the great globe itself,
           Yea, all which it inherit, shall dissolve
           And, like this insubstantial pageant faded,
           Leave not a rack behind: we are such stuff
           As dreams are made on, and our little life
           Is rounded with a sleep. — The Tempest, Act 4, Scene 1

ちょっと難しすぎて(汗)、うまく説明できませんが、「精霊たちが空気に、薄い空気に溶けていく」と述べています。

『テンペスト』も、海の上のいかだに乗ったプロスペロと娘のミランダ、島に漂着して、生き延びて、そして魔法で嵐を起こしてリベンジ。。。 イメージ広がるお話です。

今回のこの ‘ Thin Air’ では自分なりの様々なイメージを膨らませて演奏しました。

オリエンタルなメロディーが聞こえてくるところは、世界中に空気を伝って東から西方へ音楽が広がっていく場面、(コロナも空気を介して伝わる 汗)エオリアンハープに触れる風、

精霊たちの天上の叫び、悲しみとともに吹く、墓場の優しい風。

最後、出だしより半音上で曲が終わるのが、何よりも温かく、そしてポジティブな前途を感じさせてくれる、と思いました。

生と死を身近に感じ、共感と、人との連帯、つながりをとても意識したコロナ時代。

この作品は声楽、ソロ楽器、どんな楽器編成でも演奏でき、誰でもダウンロードできます。

私が使ったのは、ギター、ハープ、ピアノ用楽譜。フォルテピアノは少しギターやハープに近い音色を持つと思います。是非機会があったら、演奏してみてくださいね。

こちら→ https://festivalsforcompassion.com/download/