8月、北欧歴史的鍵盤楽器祭にて、ソロリサイタルとマスタークラスを行った。
生後六ヶ月の娘を連れていったのは、母乳育児を続けたかったのが一番の理由で、あまり泣かない楽な子でもあったので、特に問題はなかった。フェスティバルのほうで経験のあるベビーシッター(女性同士のカップル)さんを探してくれて、すぐ近くの安全な所にいてくれたのでお陰でなんの心配もなく仕事ができた。
前日の練習は自分の側でこんな感じ。
クオピオで知名度がおそらくまったくない自分のコンサートに誰が来てくれるのだろうか、と思いつつ、、、オーガナイズ関係者やマスタークラス参加者の学生達もたくさん来てくれて、少ない中でもとても雰囲気のよいコンサートになり、自分にとっては充実した演奏会であった。初めてのお客様、それも違う言葉を話す、日本からかけ離れた場所にある国でのコンサート。
大きなジェスチャーを交えて、ハッキリ話そうと努めてスピーチでもするかのような気持ちだった。
異国の、オランダでもない土地、フィンランド。。。そういうことが必要と舞台の上で感じられたのが、不思議である。
音楽が共通の言語であることは、本当に素晴らしいことである。それに助けられて、今までオランダでも暮らして来られた。
次の日のマスタークラスは3人の生徒であった。皆若くて、一生懸命で可愛い、、、と思ってしまう自分の歳を感じる。
一人はチェンバロでのレッスンで二人がフォルテピアノ。短い時間に様々な発見をして、一緒に考えていく作業はとても楽しい。
一人はiPadでの楽譜。。。
譜めくりに、タッチスクリーンを上にずらす。書き込めないのが不便そうだけれど、、、。
少し午後に暇ができて、街へ散歩。ベビーシッターさんお勧めのこの地域のスペシャルな食べ物ということで、Kalakukkoというものをお土産に購入。キロで買うのだが、最低が1キロで、それを買った。(約25ユーロ)家であけてびっくり。分厚くてぎっしり焼かれたライ麦パンの中に、ベーコンとお魚がぎっしり。パンが中の具を密閉しているので、一ヶ月はもつそうだ。昔木こりがこれを食料に持って仕事に出たそう。魚の部分も発酵したような、独特の味わいが出ていて、とても美味しかった!
クオピオはまさに湖に囲まれた街。どちら向きに歩いても、いつかは湖に到着。
街の中にも緑の公園が、あちこちにあり、空気が本当に綺麗で美味しかった。
朝、早起きした時の新鮮な空気、あの感覚が一日中あるような、常に綺麗な空気の場所。
そうそう、街の中心地の広場にマーケットが出ていて、ジャガイモが売っていたのだが、箱に入っている。
この箱は、一升のようなフィンランドの単位、1カッパというそうだ。
英語がほとんどマーケットでは通じなかった。
どこかおとぎの国にでもいるような感覚が時々する。
冬にはマイナス35度になるとう、クオピオ。フェスティバルだけではわからないフィンランドの人々や文化にあまり触れることはできなかったが、厳しい冬の寒さを知る物静かな人々の心の中にはものすごく深い英知が潜んでいそうで、深い森に住む妖精が出てきそう、なイメージは遠くないと思う。