ラ・コルデ・ヴィブランテ日本ツアー終了!


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シチリア出身のギタリスト、ダリオ・マカルーソ氏と共に3回の日本でのコンサートを行いました。浜松市の楽器博物館(10月26日)、牛久市エスカードホール(11月2日)、石岡市ギター文化館(11月3日)。

今回は私たちのCDのプレゼンテーションも兼ねて、苦労の末産み出したCDを携えての旅。たくさんの嬉しいコメントをいただいて、大成功のうちに終了となりました。

このコンサートに足を運んでくださった皆様、本当にありがとうございました!

それからこのコンサートの準備のために快くお手伝いをしてくださった、友人、知人には本当に感謝しています。

浜松ではオリジナルの1805年頃のトーマス・ラウド(クレメンティの名前が一緒にネームボードに)のイギリス製スクエアピアノ。

味わいのある軽やかな音色に、芯のある柔らかい音色のダリオのギターととてもよく融合しました。

Thomas Loud hamamatsu 2

Thomas loud hamamatsu 3

この花模様はクレメンティ社のピアノによく見られますね。共同に制作した楽器のようです。

Thomas loud Hamamatsu 2013

ある方からこんな感想をいただきました。ここに筆者の許可を得て掲載します。

『一昨日はとても素敵なコンサートを開いてくださり有難うございました。
フォルテピアノの色や形がとてもエスカードに似合っていて、扉をあけたら別のホールかと思いました。
それに、19世紀のピアノの音は、私が想像していたものより、ずっと響きに重みがあり、ものすごい存在感でした。
心配していた響きも、前のブロックのすぐ後ろ、つまり通路をはさんで一列目やや右寄りで聴いたのが功を奏しました。

フォルテピアノはまるでサラブレッドの毛並みのようでした。
静かな光に包まれて、たてがみをふさふささせながらゆっくりスローモーションで走っている。それも夢の中で。
そういう音です。

特に、ベートーヴェンの作品は、テーマが魔笛だったので、夢の中でモーツァルトが弾いているピアノを聴いているような気分でした。時には、ハープのようにも聞こえるその音色はギターとちょうどよいバランスを保ちながら、華やかに展開してゆきました。

テーマがよいと、こんな風にアレンジできるんだな、と感心しながら聴いていた部分があり、CDでも毎日気に入ってきいてます。

その他の曲も、モダンの楽器でやるより、即興的な部分が多いせいか、すごく自由に解き放たれた響きがあります。
ギターがメロディになると、甘くて哀しい恋愛映画をみているようです。

こんな素晴らしいデュオですから、いろいろ大変なことも多いとは思いますが、ぜひとも10年、15年と続けていってくださいね。

かおるさんのレクチャーがとても私は好きです。簡潔でいて、はじめての人にも興味をい抱かせるような話法です。いつか、ギターやフォルテピアノの楽器を部分的に写しながら、古楽器の世界へようこそ、という内容の短い映像を作ってくれると嬉しいです。ぜひ生徒たちにもみせてみたいです。』

Mさん、ファンタジー一杯の感想ありがとうございました!

牛久エスカードホールでは、地元での広告などを見て来てくださった方もおり100名を超える盛況となりました。古楽器には音響も良く、サイズも中ぐらいで利便性もありとてもよかったです。ショッピングセンターの最上階にこんなスペースがあると、普段着でふらっと音楽を楽しめるようになりそうです。今日は何かやってるかなあ、とお買い物帰りにちらっとのぞいてみるのもいいかもしれません。

ギター文化館は、さすがギター専用のホールとあり、素晴らしい音響スペースでした!!!木村館長も、フォルテピアノはここの音響に抜群でした、とのことでした。お客様が少なめだったのがとても残念でしたが、木目で天井の高い、チャペルのような素敵なスペース。フォルテピアノの音色の豊かさがよく聴き取れるホールだったのではないでしょうか。味わいあるパノルモギターの音色、ダリオのクリアーな音作りがフォルテピアノと対等にやりとりして、贅沢感、幸せ感の中で演奏することができました。

なおCDは次の場所で購入可能です。
東京古典楽器センター  tel: 03 3952 5515
http://www.guitarra.co.jp

ギター文化館 tel: 0299 46 2457
http://guitar-bunkakan.com

CDcover La Corde Vibrante

定価2300円(税込み)(送料込み2500円にて上記より郵送可能)
私のホームページからもお申し込みできます。
ご希望の方はメールでお知らせください♪
kaoruiwamura.info@gmail.com

コンサートの前日に茨城ラジオ放送に生出演しました。
コンサートについての紹介やどのようにフォルテピアノと出会ったかなどをお話しして、CDから数曲かけてくれました。

ハウプ・エマー氏作曲の新曲はたくさんの方より、「よかった」「この方は日本をよく知っている」「面白かった」というご意見をいただきました。

またいつかダリオ氏と日本での公演の機会がありますように。

クオピオでの演奏会

8月、北欧歴史的鍵盤楽器祭にて、ソロリサイタルとマスタークラスを行った。

生後六ヶ月の娘を連れていったのは、母乳育児を続けたかったのが一番の理由で、あまり泣かない楽な子でもあったので、特に問題はなかった。フェスティバルのほうで経験のあるベビーシッター(女性同士のカップル)さんを探してくれて、すぐ近くの安全な所にいてくれたのでお陰でなんの心配もなく仕事ができた。

前日の練習は自分の側でこんな感じ。

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クオピオで知名度がおそらくまったくない自分のコンサートに誰が来てくれるのだろうか、と思いつつ、、、オーガナイズ関係者やマスタークラス参加者の学生達もたくさん来てくれて、少ない中でもとても雰囲気のよいコンサートになり、自分にとっては充実した演奏会であった。初めてのお客様、それも違う言葉を話す、日本からかけ離れた場所にある国でのコンサート。

大きなジェスチャーを交えて、ハッキリ話そうと努めてスピーチでもするかのような気持ちだった。

異国の、オランダでもない土地、フィンランド。。。そういうことが必要と舞台の上で感じられたのが、不思議である。

音楽が共通の言語であることは、本当に素晴らしいことである。それに助けられて、今までオランダでも暮らして来られた。

次の日のマスタークラスは3人の生徒であった。皆若くて、一生懸命で可愛い、、、と思ってしまう自分の歳を感じる。

一人はチェンバロでのレッスンで二人がフォルテピアノ。短い時間に様々な発見をして、一緒に考えていく作業はとても楽しい。

一人はiPadでの楽譜。。。

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譜めくりに、タッチスクリーンを上にずらす。書き込めないのが不便そうだけれど、、、。

少し午後に暇ができて、街へ散歩。ベビーシッターさんお勧めのこの地域のスペシャルな食べ物ということで、Kalakukkoというものをお土産に購入。キロで買うのだが、最低が1キロで、それを買った。(約25ユーロ)家であけてびっくり。分厚くてぎっしり焼かれたライ麦パンの中に、ベーコンとお魚がぎっしり。パンが中の具を密閉しているので、一ヶ月はもつそうだ。昔木こりがこれを食料に持って仕事に出たそう。魚の部分も発酵したような、独特の味わいが出ていて、とても美味しかった!

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クオピオはまさに湖に囲まれた街。どちら向きに歩いても、いつかは湖に到着。

街の中にも緑の公園が、あちこちにあり、空気が本当に綺麗で美味しかった。

朝、早起きした時の新鮮な空気、あの感覚が一日中あるような、常に綺麗な空気の場所。

そうそう、街の中心地の広場にマーケットが出ていて、ジャガイモが売っていたのだが、箱に入っている。

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この箱は、一升のようなフィンランドの単位、1カッパというそうだ。

英語がほとんどマーケットでは通じなかった。

どこかおとぎの国にでもいるような感覚が時々する。

冬にはマイナス35度になるとう、クオピオ。フェスティバルだけではわからないフィンランドの人々や文化にあまり触れることはできなかったが、厳しい冬の寒さを知る物静かな人々の心の中にはものすごく深い英知が潜んでいそうで、深い森に住む妖精が出てきそう、なイメージは遠くないと思う。

フィンランド、クオピオへ

この春、良いニュースをいただいた。

8月のフィンランド、クオピオ市におけるリサイタルとマスタークラスに参加するために、朝日新聞文化財団より助成金をいただけることになった。

クオピオ市で、歴史的鍵盤楽器のフェスティバルが行われている。

Nordic Historical Keyboard Festival

8月14日から23日の間、クラヴィコード、チェンバロ、オルガン、フォルテピアノでのソロやアンサンブルの演奏会が毎日、計22回、そしてマスタークラスも開かれる。アメリカやメキシコからも演奏者が来るそうだ。そんな国際的な場に招待され、マスタークラスはレッスンを行うという貴重な経験。

このフェスティバルは現代音楽にもオープンで、今年は4曲の世界初演が行われるそうだ。

私はシュタインモデルの楽器にてソロリサイタル。

クラシックな作品に加えて、マルドナド氏の現代曲も披露する。

マルドナド氏の作品は以前演奏した事があり、作曲家にもミラノに会いにいき、録音を聞いてもらった。

いつか私のために作品を書いてくださる、と約束してくださってその日を心待ちにしている。

フォルテピアノはその当時の作品を演奏するのは楽しいのはもちろんだが、現代曲でも楽器の特性とマッチして「響き」として聴いてもらえたら古楽器での現代曲も素敵だ。

同じプログラムでアムステルダムにて7月21日に演奏予定。

自分のシュタインモデルのフォルテピアノで弾くので

お近くの方はどうぞ聴きにきてください♪

「夜の魔女」プロジェクト

4月の27、28日とアムステルダムのオルゲルパークにて面白いプロジェクトに参加した。Huib Emmerの’Nachthexen’ とAnne La Bergeの’Lonely Stats’という2曲の新曲発表。

第2次大戦中のロシアとアメリカのパワフルな女性、というのがテーマ。

私はNachthexenのオルガンパートで参加。

この曲は、3人のオルガニスト、トロンボーン、コントラバス、フルート、ナレーション、ラップトップ(電子音楽)のために書かれた。

Nachthexen「夜の魔女」とは、第2次大戦中にロシアでは女性パイロットがおり、ドイツにたくさんの爆弾を落としたが、レーダーから逃れる飛行機に乗り、音もなく現れて消えて行くのでそう呼ばれていた。姿を消す薬を飲んでいるのだ、という噂まであったそうだ。3人のパイロットとこのストーリーにインスピレーションを得た作品。

Lonely Stats(寂しい統計)の方は、アメリカの女性にまつわる。同じく第2次大戦中、男性が戦争に行ってしまいアメリカの野球界が人手不足となる。その頃女性のプロ野球チームが発足。その選手達のことがもとになっている。作曲家のアンネいわく、「野球は三振やストライクの数、スコア、すべて統計であり、数で比較されている」作品は、Nachthexenと同じ楽器編成で、オルガンは一人。コンピューターがサインを出したら、インプロヴィゼーションを始めたり、決まったフレーズを演奏したりする。’guided improvisation’ と呼んでいた。

オルゲルパークで、生まれて初めて、コンピュータつきのオルガンを見た!

実は、ハンスさんという方が、発明して作った世界にひとつの楽器だそうだ。

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楽器はホールの大きなパイプオルガンのパイプが共用されて鳴るので、音色は生のオルガンのまま。

私は19世紀後半のタイプの小型のパイプオルガンでホッとした。ストップのところに陶器の材質が使われていて素敵だった。モニターで指揮者を見る。

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ロシアの軍事ニュース関係の(?)テレビ局で翌日このコンサートのことが放映された。

http://tvzvezda.ru/schedule/programs/content/201005071133-4zo9.htm/201304291026-q4xl.htm

約8分45秒のところ。

タイプの違うパイプオルガンが四方の壁に設置され、とても贅沢感のあるホール!昔教会であったところを改装して建てられている。アムステルダムの中心地フォンデルパークに接する。

アトリエコンサート

前回のポストが「運河が凍った」とは、なんと怠けたことか。。。。ド反省。
春が来て、夏が通り過ぎ、もう秋。
たくさんのことがあり、毎日飛ぶようにぎっしりとした時間が過ぎていった。

6月のことになるが、大事な催し物だったので書きたい。

アトリエコンサートをチェロのNina Hitz とヴァイオリンのHeleen Hulstと企画。昨年始めより、スェーリンク・コレクションという元はRien Hasselaar (リン・ハスラー)氏の所有だった楽器のコレクションの運営委員の一人にならないか、と言われてお手伝いすることにした。

ハスラー氏は2000年に突然他界され、そのあと公の団体として、彼の100台近くにのぼる、スクエアピアノやたんすに見えるようなオルガン、そしてグランド型のフォルテピアノの数々、仕事場のアトリエの機材や道具、修復のためのマテリアル、等がそのまま保存されている。

今ある場所がアムステルダムの街の中、運河沿いの一等地の4階という隠れた場所にある。
だいたいそんな高いところに、どうやってたくさんのピアノを運び込んだか。。。
これはオランダ人の得意とするところである。

入り口は日本でいう4階なのだが、中に入るとさらに3層の階になっていてかなり広い。
寝せて並べられたスクエアピアノを含め25から30台の楽器がここにある。
ほとんどに白い布がかぶせられたまま、まるで墓場のような印象である。

このコレクションは、長いこと教育にも携わったリンさんが、教育に役立てて欲しいという当時からの願いより、アムステルダム音楽院のフォルテピアノ科の学生が勉強に使わせてもらっていた。自分も含め、オランダのアムステルダム音楽院でフォルテピアノを主科、副科で学んだピアニスト達が練習していた楽器である。

音楽院がアムステルダム駅近くに引っ越しをした2008年、旧校舎には大きな部屋が二部屋と、修復などに使われていた部屋があったのに、新校舎内にはフォルテピアノを保存する博物館的な場所は設計に含まれておらず、行き場がなくなった。

そして、Rijswijkという町の貸し倉庫に約40台の楽器が行くことになり、現在にいたる。
数台の楽器が、Geelvinck Hinlopen huis という博物館に貸し出しをされ、演奏会にも使われている。そこでも私も様々なお手伝いをさせていただいている。

リンさんが生きていた当時からの面影が残っているのが、彼の自宅兼仕事場であった、このアトリエである。その後、一度楽器の修復がアトリエで成されたきりで、アトリエはほとんど使われておらず、ピアノのほうは、許可を得た元学生が時々練習に訪れるのみである。

主にアムステルダム音楽院のフォルテピアノ科の学生が、学校の練習室が足りないときにここで練習させてもらえた。時にはレッスンにも使われていた。

それ以来私もたまにさらいに行っていた。
アンサンブルでほかのミュージシャンと来ると、皆すごく驚く。
「なんだ、この場所は!すごい!」

アトリエってそもそも木の香りがして、木屑が散って、様々な道具が器用にスペースを使って収納されて、職人さんの聖域みたいな所である。楽器メーカーさんのアトリエを訪れるのはいつもわくわくする。道具を見て、わかるわけでもないけれど、職人さんの器用さってきゅんとするものがある。

前置きが長くなったが、この小さいスペースで15人まで限定のコンサートを2回行った。
目的はより多くの方にこのコレクションの存在を知ってもらいたいこと。今後の生き残り方を模索する中、経済的にもサポートしてくれる個人や団体、財団を探している。来てくださったお客さんもとても熱心にアトリエを見たり、話を聞いてくれた。

しばらく弾かれていなかった楽器を、調律していくうちに目覚めていく過程を体験するのは嬉しい。今回弾いたピアノDohnal(ウィーンのグランド、1830年頃のもの)は、学生時代よく練習に使われていた安定した楽器であったが、コンサートの前2ヶ月くらいには調律もとても不安定で鳴りも乏しかった。でも数回行くうちに、コンサートの2、3週間前には週に2、3回すこしづつ調律して、ピッチが次第に変化しなくなってきた。弾きこんで楽器も鳴るようになってきて、これが使われていないのは、もったいないなあ、というふうになる。
楽器が眠っていたのである。人知れず埋もれている楽器がゆっくりと元気になり、コンサートでスポットライトを浴びる瞬間。ピアノのためにもやってよかったなあ、と思った。

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WORMでのコンサート

WORMでのコンサートは12月4日に無事終了。
今回のプログラムはお琴の後藤真起子さんとの再共演もあり、琴、フォルテピアノ、電子音楽、チェロ、バスクラリネット、そしてシンバルの即興演奏家という組み合わせ。

真起子さんとは5月に私達のデュオのために作曲された Anna Mikhailova の ‘Shogi. White dragon.’を再演。他には箏曲の「六段」を琴とフォルテピアノで二重奏してみたが、これが賛否両論。(以前にやったときもだったなあ。。。)音の響き的にはこの楽器の組み合わせはとてもきれいと思うのだが、日本の音楽は私にとって、とても難しい。日本人として恥ずかしいが、これは「てんとんしゃん〜」と声で唱えるところからちゃんと習わないといけないのだろう。「六段」という音楽がなかなかつぼを理解できないのだ。あとはピッチがピアノでは揺らせるテクニックはないのでお琴のよう、ではない。ピアノのドレミとは違って琴は微妙に違う音高になっていることもある。真起子さんは、「そのズレがいいのよ」と言ってくださるが。。。日本の音楽はわざとアンサンブルもずらし気味に弾いたり、自由でいいという。

尺八とフォルテピアノという作品を演奏させていただいた時にも、作曲家の言葉として、「きちんと合わせようとしないでください」と何度も言われた。

その日は他にベートーヴェンのソナタ作品49−2の一楽章を私がフォルテピアノで弾き、Gilius van Bergeijk氏のこの作品をもとにした電子音楽作品がテープで流された。「ピ、ポ、バ、ピ、ポ・・・・」音の高さが全く違うが、リズムはそのままで、宇宙から来た音みたいだった。

他に、シンバル演奏家は小型のシンバルに、ケーキのデコレーション(ピンクや白のお砂糖の粒?)や小さいアルファベットパスタを上から降らせて落として、そのサウンドで作られた不思議な世界は微妙な音のグラデーションだった。

そしてHuib Emmer作曲の出演者全員で演奏できる フランツ・リストの「灰色の雲」の編曲で幕を閉じた。ピアノソロの原曲よりも壮大な感じになっていた。

アバンギャルドに慣れているWORMのお客さんにとっては、とってもクラシックなものが聞けたプログラムであったが、クラシックばかり普段聞かれる方にとっては、ハテナ???もあったかもしれない。即興演奏や現代音楽、コンピューター音楽では「音楽」や「曲」というよりも、どんな材質から出る音、どんな波長の音、音そのものが本質的になってきて、自分もFACESでの活動などで即興に触れる機会も増えてきたこの2、3年、音の違う聞き方を学んでいるように思う。

WORMの建物の中の壁と天井は、廃品利用で飛行機の窓の部分が使われている。
座席も飛行機の座席で、昔のタバコの灰皿つきであった。
廃品利用のほうが、現在では高くついたりするそうだ。

これはプラスチックのタンクを使ったトイレ。中に入ると半透明でちょっと落ち着かないかも。。。


建物内のカフェ。

出演者とお客さんのために、ベビーシッターが用意されていたが、WORM内にすごい数のぬいぐるみのスペースが用意されていてそこで子供達が遊んでいた。これには圧倒された。。。

シチリアの調律騒動

先週は4日間、イタリア、シチリア島で過ごした。
チェファルという町でギターのダリオ・マカルーソと演奏会があり、シチリアに住むダリオにしょっちゅうは会えないので、様々な曲のリハーサルも予定して余裕をもって木曜日の到着だった。

出発前日に、リハは金曜日とコンサート当日の土曜日の9時から午後4時までできるようだと聞く。到着した木曜日の午後は私のフリーな一日となり、強い日差しの中で美しい町並みと海、静かな時間、雨降り続きで曇り空のアムステルダムとのギャップの大きさにゆっくり身体を慣らしながら、心を空っぽにして海岸で波を眺めていた。

金曜日の朝9時にホール前でダリオと待ち合わせ。
ダリオが「誰も来ないのでは、という予感がする」

そんな。。。?!何を言っているのだ。
オーガナイズの方が「リハーサルはできないよ」と一度言っていた、という話を聞いた。でもダリオがそれでは困る、とがんばりなんとか二日間の同意をした。

ところが誰も来ない。。。

ダリオがオーガナイザーに電話して、地元のホールのドアを開けてくれる人に連絡を取る。なんとか連絡がついて、10時頃に開く。

ピアノを見ると、修復したてのような、ぴかぴかの外装のJosef Simon がカパーをかけられてステージの片隅にあった。鍵盤は開いたが、鍵がかかっていて調律をする部分のピアノのふたは開かない。どうやって調律するの?

Josef Simon (ca 1840) Viennese piano

しばらくしてホールのステマネ(?)のおじさんが鍵を見つけてくる。

低音がとても狂っており、いくつかの音は半音ほど違う。
ピアノの調律は?

「カオル、ピアノの調律は今日の4時に来るって」

だってリハーサル4時まででしょう?!?!

狂ったピアノでは2、3時間弾くのが集中力の限界だった。
狂った音をタッチしないように、一オクターブあげてみたり、音をぬかしたりしているうちに音楽に集中できなくなる。ダリオも私も絶対音感がなく、ピッチがわからない!
430よりは高いような気がする。ダリオは430に合う、弦を持って来ていたのにそのピアノの鳴りに合わないようで、さらに狂っているので神経にさわるようだ。

また半日フリー。。。。


劇場の客席に面したドアを開けると、直、海!

こんどはマンドラリスカ美術館やドゥオモも見る。でもあまり歩くと疲れるので、早めに夕食。アパートに戻り、子供のマフラー編みに集中。。。
こういう時、本を読む気もしなかったり、観光する気もなく自分の家でない場所で過ごすのに、編み物はびったりの新しい趣味である。

その日の4時に来た調律師は実は地元に住むピアニストで、調律もできる、という方だった。次の日に1時頃から30分ほど演奏するので、調律をしてその後ヴァイオリンとリハーサルするという。だから土曜日は1時半頃から使っていいよ、と。

ということは結局コンサート当日の1時半からの数時間が私達に残された時間。
でもまあ、新しい曲は一曲だけであったので、なんとかなるだろうか。

1時前頃に行って、そのミニコンサートをチェック。
ひどくピアノが狂っている〜〜〜〜〜

なんだか心が乱された。
彼の演奏後、直談判に行く。「お願いだから、調律ハンマーを貸してください。このピアノで私達のコンサート、今晩するのは不可能です」

「でもボクこのハンマーこれから使うから貸せないの」
「それでは困ります!」
「1、2時間でもいいから、使わない時間があったら、貸してくれませんか?」
「じゃあ、5時に取りにくるから、それまで使っていいよ」

彼も調律がひどいことはわかっているらしいが、目の前でちょっとまって、と直していた一音もオクターブが合わないままで、さらに中から高音域は昨日よりひどい。
「今ホールに人が入っていて気温が上がり、湿気もあがっているからすぐに調律しないほうがいいよ」と。

その通り。。でもダリオがくる前に少しでもまともにしておかないとまたリハにならないので、調律から始める。1時間半集中。。。。6オクターブ半の慣れない楽器とハンマーな上、最初の1オクターブの割り出しもなかなか安定せず、時間がかかる。終わってから気がついたが、ピンが緩んでいる音がいくつもあり、調律しても戻ってしまう音もある。でも昨日よりはマシな状態に一度戻す。付け加えると、すべてのA(ラの音)が違い、どのピッチが430なのか分からず終いで、彼が昨日合わせたという真ん中のAにあわせた。

ダリオと3時半から1時間ほどあわせると、ピアニストの彼がハンマーを取りに戻ってきた。ちょうどピアノもまた狂い始めた音もあり、待っていてもらって15分だけひどい音だけ直す。

でもでも、、、これでやるしかないのか?!

20ー30分もう一度いくらかリハをして、さあもう着替えなきゃ。。。

開演15分ほど前に、オーガナイザーグループのエレガントな老紳士や関係者が次々とご挨拶に来られた。4人くらいは来られただろうか。
心の中では「お願いだから集中させてくれ。。。。。!」

コンサートはテンションをあげて、集中して演奏。
お客様もまあまあ入り、キャパ200ほどの劇場の一階席はほぼ満席のようで良い雰囲気のコンサートになった。とても喜んでいただくことができアンコールも一曲演奏。

ただ狂った音はもうどうにもできない。

プログラムの後半になりもっとひどくなってきた低音もいくつかあった。

ピアノという楽器は調律ハンマーがないとどうにもできないところが非常に不便でもある。

でもでも、この企画はどうなのでしょうか?!

とくにオリジナルの楽器の場合、保存状態と何ヶ月も弾かれていないのか、使われているのかによって大きく変わる。後から知ったのは、数ヶ月間誰も弾いていないフォルテピアノであった。オリジナルで演奏会がある場合は、最近弾かれていない楽器、ということもあるので、早めにいって楽器と知り合い、目覚めさせて、お友達になってから演奏会に望みたい。できれば、リハーサルを始める前に一度調律しておいてもらいたい。。。。そして演奏会の直前にも。これは贅沢だろうか?!

調律師が手配されなくても調律ハンマーがこの町にあったのならば、わかっていれば自分で木曜日に一度調律することもできた。(したいわけではないが、狂ったピアノよりはいい)

企画の方々は挨拶に来られて「調律のこと、アイム・ソーリー。」口々に話していた。チェファルでの毎日は怒る気にもならず、自分の集中力が乱されないように必死だった。滞在して素晴らしい町も見ることができた。120年ほど前に建てられたという会場は、劇場で素晴らしかった。裕福な町なのだろうか。調律が、、、と真剣にかけあったところで「のれんに腕押し」みたいなことは目にみえる。シチリアには独特な時間が流れていて圧倒的な島のパワーみたいなものがあって、許してしまうというのか、あちらのテンポにあわせるしかないのである。

ヨーゼフ・シモンは修復された、素晴らしい楽器だった。きちんと調律した状態で聞いてもらえなかったのがとても残念である。またぜひ再会したいなあ。

この4日間で完成した息子へのマフラーがもう一つのひそかな喜びであった。