ポールマンで現代曲

今日は、Pohlman というイギリスの18世紀のスクエアピアノで、この10月にスクエアピアノのために作曲してくれたオランダ人、Bastiaan Egberts氏の曲を録音した。

 

結局は静けさが保てそう、と賭けたこの部屋で。まるで物置。。。

マイク2本で、作曲した方が自ら録音してくださり、そのうちYouTubeにアップする予定でございます。

調律もしたし、今年最後の神経を使うお仕事だったので、終わった後は、気晴らしに久しぶりに街へショッピングに出かける。

 

あさって木曜日は、オランダ中の小中学校でクリスマス・ディナーがある。

昼頃学校終了し、夕方またディナーに学校に出かける。

その時に子供のうちから、きちんと晴れ着で参加。

食事は親が持ち寄る。飾り付けも親。そのための子供の洋服を見に行った。

街はクリスマスのイルミネーションと、プレゼントを買う人々で賑わっている。

今年もいよいよ終わりに近づいている。

 

 

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マスタークラス

先日はまたレッスンの機会をいただいた。

おなじみのザーンダイクのオランダ製スクエアピアノ。

1830年製で、タッチにはコツがいる楽器。

 

ここは有名な観光地のザーンセ・スハンスの対岸にあり、オランダの絵のような緑のかわいいお家がザーン川沿いに立ち並ぶ、まさにミニチュアオランダ村のセットにいるような景色。でも実物!今回は電車が止まっていたので、バスに40分揺られてザーンセ・スハンスまで行き、観光客のために作られた風車と、古い緑の木造住宅などを建てたテーマパークの中を子供達を連れて通りぬけ、対岸のホーニヒ・ブレート・ハウスへそこから徒歩10分。

 

ホーニヒ・ブレート・ハウス(Honig Breethuis) のあるLagedijk 通りで12月17日の週末に音楽のお祭りがあった。

通りのお家で、家に(グランド)ピアノがあったり、開放してコンサートに提供できるいくつもの家があり、そこで地元の音楽家がハウスコンサートをしている。オランダ名物の冬のお菓子などの出店も出て、雰囲気も素敵だった。

そこで、ホーニヒ・ブレート・ハウスにある楽器を、地元の若い才能のある音楽家に演奏させてみよう、というアイデアが出て、このフォルテピアノの持ち主が、やたらと古い楽器の取り扱いを知らないピアニストに弾かせたくない、と話が進まなかったそうだ。そこで「カオル、レッスンしてやってくれないか」という話に。私が判断してオーケーが出た人にだけ、弾かせる、という厚い信頼を受け、地元音楽教室に通う、優秀な10代の子達と大人のピアニストの3人の演奏を聞かせてもらいにいくことになる。2度のレッスンでフォルテピアノへの導入と、ちょっとしたコツをアドバイスしながら、少しでも慣れることができるように、弾くのを見守る感じ。

 

うーん、また楽しくて嬉しかった。

16歳の女の子はチェロを弾く妹さんとブラームスのチェロソナタ ホ短調の1楽章を。

16歳でこのブラームスを妹さんと弾いている、素敵な姉妹!最低音のホ音が足りなくて、まずあせる、、、よね。さらにロマンティックに大きく表現豊かに弾いている妹さんとのバランスを取るのが難しい、、、、よね。作品よりも30年も古いピアノなのだから。

もう一人は12歳の男の子。同じくらいの歳の女の子のバイオリニストとシューベルトのソナタの1番、ニ長調1楽章。これはピアノとレパートリーがばっちり合う。ペダルの使い方、モダンピアノと大きく違うなあ、と実感。

彼はモーツァルトのソナタも弾く。楽器に刺激されたらしく、ドビュッシーやリストやいろんな曲を試してみていた。若い世代の柔らかな感性、吸収力はすばらしくて、とても楽しかったようだ。

 

普段18人ぐらいの生徒さんを持っているが、初心者から18歳ぐらいまであとは大人が3人なのだが、選抜クラスにいるような10代の子供達にレッスンするというのは、とてもやりがいのある機会であった。素直に私のいうことに耳を傾けてくれるひた向きな目に、きゅんとしてしまう。。。

ご両親もまた熱心で、温かく見守る姿にこれまでのサポートがあってこそ、こんな若い音楽家が育つんだなあとなぜか親心にも共鳴してしまう。

このチャンスが本当によかった、と私も生徒さんも、ご両親も、博物館の方達も、そして楽器の持ち主も、みんな幸せな気分になったフェスティバルとなった。

フォルテピアノを通してのご縁、ありがとう。

 

「冬の旅」への旅

シューベルト歌曲集「冬の旅」。

11月19日のシューベルトの220年の命日に自分の「冬の旅」デビューを果たした。

「冬の旅」の旅の第一歩を踏み出すことができたのも、いろいろなご縁とお声をかけてくださった方のお陰である。共演のGuy さんより、以前この本をプレゼントにいただいた。

 

普段英語の本を読み切る能力は???なのに、がんばってこれは読もうと張り切った。言葉も調べて読んでいるつもりだが、やはり自然科学や歴史、絵画、様々な分野の教養、知識、専門用語が多く、そう簡単に進まない。内容の濃さと興味で、読みたい気持ちはあるのだが、英語力がついていかない。。(汗)

 

そしてこの8月に東京のヤマハで日本語訳を発見!

今年の2月に日本で初版が出たばかりで、1年半眺めた英語版に見切りをつけ、即購入!

 

そしてなんとかコンサートの前までに読み、今後も繰り返し目を通そうと思う本である。

リート伴奏で大事なのはやはり、ドイツ語の意味の把握、音楽と言葉の抑揚の一体感を感じることなので、本を読むことが目的ではないのだが、でもボストリッジの演奏家としての経験と観察力から書かれる冬の旅の分析は、とても興味深く、彼の教養の幅広さと鋭さ、繊細さにはもうほれっぱなし。彼の演奏も本当に心に浸みいる。エモーションがダイレクトに伝わってきて、長年愛聴していたフィシャー=ディースカウとはまた違う新鮮な良さがある。

オランダのスクエアピアノ、1830年頃の楽器で、親密さと「スピーク」できる感覚がたまらなく、お客様にもとても喜んでいただくことができた。

リート伴奏は楽しい!24曲の構成、フォルテピアノでの演奏、テンポ構成、伴奏法、詩の意味、様々な観点から興味の尽きない作品である。Guyさんとの共演も続けていきたいが、一生のうちには両手指くらいのたくさんの歌手の方と「冬の旅」を勉強して、様々な声域でも機会があったら演奏してみたいなあ、と密かな目標を持っている。

 

犬のお散歩サービス

 

これはいつかアップしたいと思っていた話題。

アムステルダムの街の中で、時々見かける光景で、おじさんが7、8匹のワンちゃんを一度に連れて歩いている。

たくさん犬を飼っている人がいるんだなあ、と前は思っていたがこれは実は犬のお散歩サービスの立派なお仕事だそうだ。

犬のお散歩も、毎日は大変。

お店を持っている知人が言うには、たまにお店や仕事がすごく忙しい時には、こういうサービスを利用するそう。。

知らない犬同士でも、慣れたおじさんの手で楽しく、グループお散歩中なんだろうな。

 

お城でのコンサート

先週の昇天祭月曜日には、ユトレヒト近郊のルーナースロートというこじんまりしたお城で、年に一度のオープンデーに毎時間コンサート、というイベントで演奏させていただく機会をいただいた。

歴史的なお城の中での歴史的なテーブルピアノの演奏という、セッティングで雰囲気からすでに素敵。

 

お城は13世紀に建てられ、1985年に手放されるまで、そのご家族のお宅として使われていた。最後に住まわれた男爵夫人は離婚後、長年一人暮らしだったそう。一人で住むにはすごく大きい!!逸話によると、オイルヒーターの暖房がまだ完備でない頃、夫人は家の中で部屋から部屋へと自転車を乗り回していたそうだ。

オランダっぽい。。

 

15分のミニコンサートということもあり、子供連れも誘いやすく、来やすく早くも予約で一杯。

約60席の天井高めの壁画のあるお部屋に、絵のように治まったブロードウッドのテーブルピアノ(1829年製) 。

・・・と偶然の「ディズニー白雪姫」色スカート。(笑)

 

1時間おきに計6回弾き、360人ほどのお客様にブロードウッドの現役な音色を聞いていただくことができた。プログラムはシューベルトの即興曲から一曲は毎回、(3つのプログラムを用意)他にベートーヴェンのバガテルや、エリーゼのために、楽興の時3番など親しみやすい曲に。

 

子供達、おじいちゃん、おばあちゃん、お友達、生徒さん一家、知り合いの方達も来てくださり、喜んでいただいて、幸せな気持ちになった。幅広い層の方にフォルテピアノの音色を聞いていただけたことが何よりもの喜び。15分で3−5曲というのは、初めて見る、聴く音色には十分な時間である。

普段のコンサートについて考えさせられた。

クラシックって、本当に馴染みやすいのだろうか。敷居の高いプログラム、になっていないだろうか。場合によってプログラムの内容はとても大事。

今回のような場所で、フォルテピアノをたくさんの幅広い層の方に聞いていただけた、ということが自分の幸せ感につながっているのでは、と思う。もっとたくさんの方に素敵なヒストリカルピアノの音色を聞いてもらいたい。。。そういう使命感が達成されたのかもしれない。

 

 

お天気も最高で、広いお庭ではお城見学の後、皆が外で遊んだりお散歩を楽しめる。

 

 

使われていた食器も展示してあったが、オランダの1790年頃のこの地方のもので一枚数十万円の価値とか。ナチュラルな染料の色で、かわいらしい。

 

 

そうそう、驚いたのは、このお城の上の一角には子供連れ家族が住んでいる。それは、ふつーの人で、ユトレヒト市の現在のこのお城の所有である団体が、賃貸している。。。

この壁画の中の隠し扉からもそこに通じているそう。

お城入り口に面した二つの元馬小屋のうちの一つも、改装されて普通の住宅として住まわれている。それで収入になるし、ということ。この方達の住宅環境をまもるためにも、お城は日曜日は公開していない。現在は週に3回ほど、半日から一日だけ公開しているそうだ。

 

おみやげにお城の最後のお住まいだった男爵夫人のものという、100年以上前のコーヒーカップをいただいた。

 

新しい流行 スピンナー

「ママー あれ買って〜」

とある水曜日のお迎え時に8歳の息子にせがまれる。

「何、あれ?」

「New rage, spinner!」

オランダでもかっこいい英語ぐらいは子供でも使う。

要するに今一番新しい流行。

そのモノは、二日まえ月曜日の夜6時半からのピアノのレッスン中に9歳の男の子が手にしているのを見たのが初めて。「何、それ?」というと、かっこ良く指に挟んで回してくれた。

私の息子への返事は、

「今週宿題もちゃんとやって、ちゃんとできたら、来週買うかどうか考えるよ」

 

そして木曜日。

この日のお迎えは主人。

夜レッスン後帰宅すると、「スピンナーを探して3件もまわったんだけど、どこも売り切れだよ」

私と意見が違うじゃん。すぐに買ってあげようとするし。。。

「だって持ってないと、かわいそうだから」

「それに、結構ナイスなモノだし」

!!!

 

そして金曜日。

家に二つあるのを発見。

いくつか店をあたったらしい。

一つは息子に,もう一つは4歳の娘にも。

子供は大喜び。

 

そして次の週木曜日。

ネットからタダでできるゲームに、スピンナーが登場していて、父親の携帯でそれを一緒に遊んでいる。数回のタッチで何回回転させたかを競うゲームで、やり始めると、もう一回,もう一回、とスコアをあげるためにやりたくなってしまう。デジタルで回数が表示されるので、実物よりも競争性がある。

その次の月曜日。

2週間前にはなかった生徒さん宅、3時15分と5時20分の生徒宅にも発見。

こうして、2週間でほとんどの子供が持っていると思われるかのスピードで新しい流行は広がっていた。

 

それにしても、何で実物もあるのに、デジタルも必要??

 

ある日のピアノの苦労

普段あまり、文句はいいたくない(と心がけているつもり)方なのだが、今回はあまりにも逆上して、でも抑えて、こらえて、何事もなかったかのようにコンサートを終わらせようと努力したけれど、でも後味もずっと残っている、、、ことがある。

ある大切なプライベートのパーティにピアノトリオで呼んでいただき、リクエストでメンデルスゾーンの一番を弾くことになった。

結果的には、大成功で本当に皆さんに喜んでいただけた。

 

問題は、、、そのベヒシュタインのグランドピアノを会場にレンタルしてくれたピアノ屋さん。調律とオーバーホールも手がけるらしい。モダンピアノを弾き慣れていないので、重いピアノだったらメンデルスゾーンの早いパッセージなんて弾けない。そのため、数週間前に一度試弾に行った。すごーく、狂っている。一年以上調律してない&弾いてない感じ。話によると、最近弦を全て新しくしたから、とのこと。もうすぐのコンサートまでに、安定するのだろうか?!

「2週間後にもう一度来たいので、それまでに調律していただけますか?あとイントネーションの違うこの変を少しそろえてもらえませんか?」と一応丁寧にお願いする。

 

2週間後。何にもしていない。。。。

パーティを企画するKちゃんに、(お金を払う)お父様には内緒にしてね、と2回目にもピアノが変わってない状態を話したら、逆上して、別のピアノ知ってるから、試弾してきて、と。それも試弾にいく。たまたま夜の10時に、、、、その時にしかもうできないというので。。。偶然近い場所だったのでそれはできた。

それはヤマハのG3で、調律はずっと良く、タッチもずっと揃っていたが、音色の面白みに欠けると思ってしまった。音色はベヒシュタインのほうがよかった。もしあのピアノが当日までに調律されるなら、、、それに賭けたい、と思った。それにそのヤマハのほうがレンタル料が高く、お金を出す方に急な変更を知らせるのも、気がひけた。ベヒで行く!と意気込んで、必ず調律をするようお願いすることに。

 

彼の理由1。「レンタル料に、事前調律は含まれていません」

(なに〜〜〜)

これがわかったのが、コンサート3日前。

 

Kちゃんが調律一回分を追加で払うことを彼に話して、合計3回の調律を当日までにすることを約束。

彼は「コンサートでは、全ての音がちゃんと並んでいることを約束する」と私にも話した同じ言葉を断言。

 

前日練習、、、、今も狂ったまんま。

彼の理由2。弦を張り替えたばかり。ーーー>それも1年前ということがわかる。それから調律してないってこと??

さらに付け加えると、事前に練習に来た私に、ちょっと当惑気味。あまりウェルカムな雰囲気ではなかった。モダンピアノで事前に見に来る人って、いないものなのだろうか?

 

ヴァイオリンとチェロの二人も話の過程で心配になって当日到着。

ベースのオクターブでさえびゅーんとうなるのを聞いて、みな静かに逆上。。。

Kちゃんは彼と裏で話に行く。

「震えが抑えられないぐらい、怒りながら、でも話した」そう。

「全ての音が並ぶ、と約束したでしょう?」

 

で、彼の一言「お金を払わないなら、ピアノに鍵締めて、持って帰るよ」

 

このメンタリティーって何でしょう?開き直り?

オランダ人にしても、普通じゃないです。

弦が新しいかろうが、誰にでもわかる狂いを直せなかったのだから、そのピアノをオファーするべきではなかったと思う。

企画者は、よけいにお金も払ったのに問題解決されず、嫌な気持ちだけが皆に残った。理解不能。。。

 

でも素晴らしい音楽が私を奮い立たせ、演奏中は集中でき、無実なお客様には音楽だけを届けることができた。

いや、あの怒りパワーを、音楽に救いを求める形で結果的に表現としてぶつけたのかもしれない。

 

どうするのがよかったのか、未だにわからない。

もっと早いうちにピアノを変更するべきだったか。

彼が次回来るまでに調律してくれるだろう、という甘えがいけなかったか。お金に含まれているかどうか、の確認。調律しても直らない問題が残る楽器なのかどうかの確認? でも最高の状態のピアノを提供しようとするのが、ピアノ屋さんのお仕事ではないのかなあ。。?

 

う〜ん、学ぶべきレッスンだったのだろう。

モダンピアノで弾くことによって学んだことは大きい。身体の使い方の違いを、改めて認識できたり、自分の好みの音色やタッチのピアノを見直す良い機会ともなった。