アトリエコンサート

前回のポストが「運河が凍った」とは、なんと怠けたことか。。。。ド反省。
春が来て、夏が通り過ぎ、もう秋。
たくさんのことがあり、毎日飛ぶようにぎっしりとした時間が過ぎていった。

6月のことになるが、大事な催し物だったので書きたい。

アトリエコンサートをチェロのNina Hitz とヴァイオリンのHeleen Hulstと企画。昨年始めより、スェーリンク・コレクションという元はRien Hasselaar (リン・ハスラー)氏の所有だった楽器のコレクションの運営委員の一人にならないか、と言われてお手伝いすることにした。

ハスラー氏は2000年に突然他界され、そのあと公の団体として、彼の100台近くにのぼる、スクエアピアノやたんすに見えるようなオルガン、そしてグランド型のフォルテピアノの数々、仕事場のアトリエの機材や道具、修復のためのマテリアル、等がそのまま保存されている。

今ある場所がアムステルダムの街の中、運河沿いの一等地の4階という隠れた場所にある。
だいたいそんな高いところに、どうやってたくさんのピアノを運び込んだか。。。
これはオランダ人の得意とするところである。

入り口は日本でいう4階なのだが、中に入るとさらに3層の階になっていてかなり広い。
寝せて並べられたスクエアピアノを含め25から30台の楽器がここにある。
ほとんどに白い布がかぶせられたまま、まるで墓場のような印象である。

このコレクションは、長いこと教育にも携わったリンさんが、教育に役立てて欲しいという当時からの願いより、アムステルダム音楽院のフォルテピアノ科の学生が勉強に使わせてもらっていた。自分も含め、オランダのアムステルダム音楽院でフォルテピアノを主科、副科で学んだピアニスト達が練習していた楽器である。

音楽院がアムステルダム駅近くに引っ越しをした2008年、旧校舎には大きな部屋が二部屋と、修復などに使われていた部屋があったのに、新校舎内にはフォルテピアノを保存する博物館的な場所は設計に含まれておらず、行き場がなくなった。

そして、Rijswijkという町の貸し倉庫に約40台の楽器が行くことになり、現在にいたる。
数台の楽器が、Geelvinck Hinlopen huis という博物館に貸し出しをされ、演奏会にも使われている。そこでも私も様々なお手伝いをさせていただいている。

リンさんが生きていた当時からの面影が残っているのが、彼の自宅兼仕事場であった、このアトリエである。その後、一度楽器の修復がアトリエで成されたきりで、アトリエはほとんど使われておらず、ピアノのほうは、許可を得た元学生が時々練習に訪れるのみである。

主にアムステルダム音楽院のフォルテピアノ科の学生が、学校の練習室が足りないときにここで練習させてもらえた。時にはレッスンにも使われていた。

それ以来私もたまにさらいに行っていた。
アンサンブルでほかのミュージシャンと来ると、皆すごく驚く。
「なんだ、この場所は!すごい!」

アトリエってそもそも木の香りがして、木屑が散って、様々な道具が器用にスペースを使って収納されて、職人さんの聖域みたいな所である。楽器メーカーさんのアトリエを訪れるのはいつもわくわくする。道具を見て、わかるわけでもないけれど、職人さんの器用さってきゅんとするものがある。

前置きが長くなったが、この小さいスペースで15人まで限定のコンサートを2回行った。
目的はより多くの方にこのコレクションの存在を知ってもらいたいこと。今後の生き残り方を模索する中、経済的にもサポートしてくれる個人や団体、財団を探している。来てくださったお客さんもとても熱心にアトリエを見たり、話を聞いてくれた。

しばらく弾かれていなかった楽器を、調律していくうちに目覚めていく過程を体験するのは嬉しい。今回弾いたピアノDohnal(ウィーンのグランド、1830年頃のもの)は、学生時代よく練習に使われていた安定した楽器であったが、コンサートの前2ヶ月くらいには調律もとても不安定で鳴りも乏しかった。でも数回行くうちに、コンサートの2、3週間前には週に2、3回すこしづつ調律して、ピッチが次第に変化しなくなってきた。弾きこんで楽器も鳴るようになってきて、これが使われていないのは、もったいないなあ、というふうになる。
楽器が眠っていたのである。人知れず埋もれている楽器がゆっくりと元気になり、コンサートでスポットライトを浴びる瞬間。ピアノのためにもやってよかったなあ、と思った。

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チャリティーコンサート ’Play for JAPAN’

3月26日にオランダのハーグ市で、歌手の夏山美加恵さん主催のコンサート’Play for JAPAN’が行われた。

これは今回の東北大地震の被災者のためのチャリティコンサートである。
最終的にこのコンサートを通して集まった義援金13,340.53ユーロとのこと!!(約150−160万円)大きな教会はお客様で一杯になり、チケットは600枚以上売れ、スタッフや出演者をあわせると700人が会場にいた。

内容は日本人を中心としたバロックアンサンブル Dionysus Consort、元パリオペラ座のバレーダンサーと白石さとしさんのエレキギター&電子音楽による即興パフォーマンスや、ハーグのレジデンチーオケの第2コンマスの野口桃子さんらのアンサンブル、オランダ人の尺八奏者、ハリー・スタレフェルド、琴奏者、後藤真起子さん、美加恵さんのソロで日本歌曲を2曲、そしてオランダ人女性5人組のアカペラ、Wishful singingが「さくら、さくら」を歌って幕を閉じた。私は歌曲の伴奏で参加させてもらった。

本当に素晴らしいコンサートだった。
日本国旗を舞台に据えるところから始まり、自分が国旗を掲揚することって、滅多になく、「これは普通のコンサートではない。私たちは日本のために何かするんだ。。。」という緊張感と真剣な気持ちが高まる。

集まった観客のほとんどはオランダ人で、そして日本人、他にも外国人がたくさん。皆でひとつの想いを持って、同じ時間と共有し、献身的なステージをひとつひとつ鑑賞して、胸がいっぱいになった。

日本大使館次官もいらしてくださり、献花をされた。
この会場を無償で提供してくださった、カソリック教会の神父さんの優しさ、寛大さにも心が熱くなる。ニュージーランドのクライストチャーチや、ハイチの地震や、様々な災害がある毎にこのような場所を提供しているそうである。

こんな災害が起こって、失ったものを見ると、失望や悲しみばかりになる。しかしこのように多くの人の少しでも何かしたいという気持ち、教会に一杯になったとてつもなく大きな人の情に触れて、必ずこの災害を乗り越えられるはず、、、と思う。日本人というだけで、たくさんのオランダ人に、「ご家族は無事ですか?」と聞かれる。人の情って温かい。
世界中に助け合いと優しい気持ちが溢れているように思う。
この災害はつらいことだが、それを乗り越えて、私たちは前進していくのだと思う。

先週のコンサート

この日はチェロのニーナ・ヒッツとのデュオコンサート。
日本の大惨事から気持ちが沈んだまま、、、。
演奏会の前に皆で1分間の黙祷をささげる。皆の温かい気持ちが、大きなエネルギーの波みたく、力強い時に感じた。

被災者の方々には早く、平和な時が戻るように、心の安らぐ温かいところで眠れるように、一生懸命祈りたい。
失ってしまったたくさんの戻らない命。仕事や家を失ってしまったり大変な避難生活にある方に、心よりお見舞い申し上げます。
皆で気持ちを合わせて、協力しあって危機を乗り越えて行こう!

演奏会の後に集まった教会への寄付、全額301ユーロ80セントが、この教会を通して、日本にある支部、エヴァンゲリスト・ルター派の教会へと送られることになり、嬉しい。

コンサートは、、、飛行機のラッシュアワーか、風向きのせいか、次から次へと、頭上をわたる騒音。。。でも重苦しいイントロのベートーヴェンのチェロソナタ第2番から、最後のチェロとピアノの変奏曲変ホ長調の明るい、愛に満ちたテーマに向かって、冬から春の希望に向かうプログラム構成になった。タイトル「春のそよ風」のように。

3月26日(土)にオランダ、ハーグ市にて、’Play for JAPAN’ というチャリティーコンサートが開かれる。
ハーグ在住の音楽家を中心に企画されており、現在すでに百数十人の予約が入っている。私も日本歌曲を2曲伴奏してお手伝いさせてもらえることになった。主人が司会進行を勤める。お近くにお住まいの方はぜひいらしてくださいね!

place: Church of our Saviour
address: Bezuidenhoutseweg 157, The Hague

start: at 20:15
ticket: 10 euro ( for Japan)
reservation e mail: playforjapan.denhaag@gmail.com

contents: lots of music and a dance performance by Japanese and non Japanese performers, moment to pray together etc.
(Baroque ensemble Dionysus consort, Wishful singing, Japanese traditional music)

presentator: Daan de Koreaan